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大学入試小論文の勉強法 大学入試小論文で合格答案を作るための重要な4つの考え方(後編)

前回に引き続き、内容について考えていきましょう。

4 意見とは、解決策や賛成反対とは限らない。

小論文の課題で問われる課題は、解決策がそもそもないものが多いですし、賛否が割れているものも多いです。

思想調査ではないですから、賛成と書いても反対と書いても構いません。

評価の基準は、理由づけが説得力のあるものかどうかです。

たとえば、世間では、原子力発電所に反対する人が多くなっていますが、「何となく怖いから反対」「アメリカも原子力発電をしているから賛成」などという情けない理由では高得点を獲得することはできません。

結論ではなく、過程が評価されるのですから、意外と知られていませんが、
次のような答案も、当然、アリです。

文系、理系を問わず、実際に生徒から出た答案を、文章を直して紹介しましょう。

イ 手続きやシステムなどの過程を問題にするもの。

  • 「安楽死の是非はともかく、家族が望む安楽死は、家族と本人の利害関係が絡むから、必ずしも本人のためになるとは限らない。迅速な審判をする公的な機関が必要である。」
  • 「いじめを放置した教諭に罰則の規定がない以上、理念として何を謳っても実効性は期待できない」

などです。

結論=小論文だというイメージが強いですが、世間で問題になっている社会問題は、システムや手続きに問題があるから揉めているものが多いです。

たとえば、母体保護法が、いわゆるザル法であるため、女子大生の中絶ですら自由になっている中絶問題や、介護認定が一発勝負であり、実情を反映しているとはいいがたい介護問題などがそうです。

手続きやシステムは重大です。だから、それについていい提言をした答案は、当然、高く評価されます。

ロ 問題の資料の不備を指摘するもの。

  • 「政府による農作物の関税自由化による損害の試算金額には、水田などの農地が放棄されることによって起きる環境破壊の金額が加算されていない。データとして不備である。」

などです。

小論文の評価基準のうち、重大なものは、題意の理解です。

グラフなら正確に読み取る、文章なら大意(結論部だけではない全体の要約)をつかみ取るのは、当然のことですが、一歩進んで資料の問題点を指摘できれば、いうことがありません。

特に文系の一流大学の場合、資料を批判的に読み取る能力やスタンスは、絶対に必要です。

わざと欠陥がある資料を出している大学(文系だけではなく、旧設私立医大にもあります)は多いです。

課題文の筆者の意見が片手落ちであり偏っているなどですが、そういう大学の採点者は、受験生による突っ込みを期待しています。

成功したらシメたもの。高得点が期待できます。

ハ 定義を問題にするもの。

  • 「グローバルな人材育成というテーマであるが、英語ができて英語圏の商業慣習に馴染んでいる者だけがグローバルな人材ではない。定義を明確にしないと議論が始まらない。」
  • 「コミュニケ—ションには様々なレベルがある。単に意志を通じさせるレベルもあれば、精神の核心部分を理解されるレベルまである。」

重要なアプローチの方法です。

しかも、「…中にはこういう手もあるよ」ということではなく、定義を明確にさせることが、問題の一部になっていることすらあるからです。

たとえば、今まで何度となく、学部を問わず出題されてきた「豊かさについて」。

(難関大学では、課題文やグラフが添えられていたり、短大ではそのまま出題されたりと形式は違いますが、同趣旨の問題が繰り返し出題されています。)

物質的な豊かさだけをお金をイメージして書いていたら、「アフリカの飢えている子どもたちのことを考えよう」などと、中学生の作文のようなことしか書けなくなります。

良い答案に仕上げるためには、定義をよく考えることが大切です。

豊かさといっても、物質と精神があります。ざっと分けて次の四通りが考えられます。

  1.  物質的な豊かさ(a) 「所得金額の豊かさ」
  2.  物質的な豊かさ(b) 「可処分所得の豊かさ」
    可処分所得とは、自分が自由に使うことができるお金です。日本には、大企業や官庁の管理職などに、年収一千万円の人がゴロゴロいます。世界的にみたらかなりの高所得です。
  3.  精神的な豊かさ(a) 「優しさや思いやり」
  4.  精神的な豊かさ(b) 「文化的な豊かさ」
    一説によると、ドイツでは、NHK交響楽団程度のレベルの交響楽団が、各都市にあるそうです。また、図書館が深夜まで営業しているのは、ヨーロッパでは当たり前の光景です。大学も勉強したい人が行く場所ですから、各年代がそろっていて、50代の大学生など、ごく当り前の光景です。そう考えると、日本は精神が豊かな国とはいいがたいですね。

この四つの中から、皆さんはどれを選びますか?

というより、どれを選んだ方が有利だと思いますか?

明かに、②④でしょう。

採点者の立場に立ってみてください。

「日本は物質的に豊かになった。しかし、優しさや思いやりに欠けているのではないか。」などという答案ばかりみて、うんざりしているからです。

また、本当のことをいうと、「(日本人が)優しさや思いやりに欠けている」という意見は、疑問が残ります。

ヨーロッパの都市でしばらく生活すると、差別と金権体質にうんざりします。わかりやすくいうと、財布を落として、戻ってくる国は日本くらいのものです。

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